vol.37 集団を操る
巧みな指揮
人に命令を出すのが上手な人はいる、確実にいる。
集団で、ある事を成し遂げようとする時、必ず指揮をとる人。そのような人だ。
前に、アルバイトしていたところで、ちょっとした重責ある業務を
任せてもらったことがあるのだけど、その当時私に仕事を振った人が
「何十万の人が見たくなるモノを作るのはまだ難しいだろうから、
数十人が見たくなるようなもの作ってみてよ」
なんてことを言われたことがある。
そんなこと言われて悔しくて、むっ!ってなったから寝る間を惜しまずに
徹底的に自称・完璧なものを作り上げてマーケットに出したら、
予想以上に良い結果を生むことが出来たことを思い出す。
そういう人は理想を語りすぎない。
100%の理想は、人の行動意欲を阻害させてしまうらしい。
集団で何かを達成させようとするとき、50%そこらの達成目標値を提示するだけで
その人の渾身の力を引き出すことができる。それを熟知していた。
人を動かす、つまり人の行動に動機付けさせるためには
3つの性質を与えることが必要らしい。
1つは、当人の達成動機の強さ。
何としてでもやり遂げてやるという気概が目標を達成に導く。
2つは、成功の主観的確立の高さ。
人は合理的で、論理的なため、不可能なことは挑戦しない。
3つは、誘因(成功報酬)の価値の高さ。
インセンティブと言われる、何らかの基本欲求(食・性・金・休)を満たしてあげること。
そして、その作品をマーケットに出すには仲間づくりも必要だった。
会議や話し合いの時、自分の意見を通さないと作品は世に出ない。それが企業だ。
作品が素晴らしいというよりも、その場の中心に私がいる状態が好ましい。
その彼(上司)は仲間づくりが上手だった。
彼の番になると、周囲の2~3人が同調を始める。
「それいいっすね!」「僕も前に話を聞いた時に名案だと思ってました!」
これらの意見が、人々の思考を停止させる。長いものには巻かれろ精神だ。
10人中3人が彼の意見にYesを出せば残り7人なんて敵ではないのだろう。
そして、彼はマイノリティなものをマジョリティに転換する。
彼がいつも話題の方向性を示すのだ。
集団の中は、人は相手を読み合い、自身を読まれないようにしている。
そこに一つのルールを敷いてあげれば人はそれに沿って動き始める。
それを彼は知っている。彼がやることなすこと人を誘導する。
彼こそがルールなのだ。それを体感した、それが私にとって大きな経験だ。
- 作者: ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会
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